
代車をわナンバーにして有償で貸し出そうと考えたとき、整備工場の経営者がまず気にするのは「わナンバーの車検は毎年になるのか」でしょう。答えは道路運送車両法第61条と、その委任を受けた施行規則第37条に書かれています。乗用車のわナンバーは初回が2年で、2回目以降は1年ごとです。軽自動車のわナンバーは2年ごとで変わりません。車検の間隔に加えて、定期点検は6か月ごとになり、日常点検も運行の前に毎日行う決まりです。この記事では条文の読み方と、工場の段取りがどう変わるかをまとめました。テーマは、わナンバーの車検期間です。初回2年・以後1年の根拠と点検の義務を、一次情報で確かめながら整理します。
この記事で確認した一次情報
- 道路運送車両法(e-Gov法令検索)第47条の2(日常点検)、第48条(定期点検)、第50条(整備管理者)、第61条(自動車検査証の有効期間)
- 道路運送車両法施行規則(e-Gov法令検索)第31条の3(整備管理者の選任)、第37条(第61条の自家用自動車)、第44条(有効期間の起算日)
- 自動車検査証の有効期間(国土交通省 自動車検査登録総合ポータルサイト)車種別の初回と2回目以降の有効期間の一覧
- 道路運送法(e-Gov法令検索)第80条(自家用自動車の有償貸渡し)
わナンバーの車検期間(初回2年・2回目以降1年)
わナンバーの乗用車の車検期間は、初めて車検証が交付されるときが2年、2回目以降が1年です。根拠は道路運送車両法第61条で、第1項が「国土交通省令で定める自家用自動車」の有効期間を1年とし、施行規則第37条第1項第3号がその対象に道路運送法第80条第1項の許可に係る自家用自動車を入れています。道路運送法第80条は、自家用自動車を業として有償で貸し渡すには国土交通大臣の許可が要ると定めた条文で、わナンバーの車はこの許可のもとで貸し出される自家用自動車にあたります。そのうえで第61条第2項第1号が、1年とされる自動車のうち施行規則第37条第2項で定めるものについて、初めて車検証を交付するときの有効期間を2年にしています。国土交通省の自動車検査登録総合ポータルサイトの一覧でも、貸渡自動車(レンタカー)は初回2年、2回目以降1年と載っています。自家用乗用車の初回3年、以後2年と比べると、車検の回数はおよそ倍になります。
| 車の種類(国土交通省の一覧の区分) | 初回 | 2回目以降 |
|---|---|---|
| 貸渡自動車(レンタカー) | 2年 | 1年 |
| 自家用乗用自動車 | 3年 | 2年 |
| 検査対象軽自動車(乗用) | 3年 | 2年 |
| 検査対象軽自動車(貨物) | 2年 | 2年 |
| 車両総重量8トン未満の貨物自動車 | 2年 | 1年 |
| 旅客運送事業用自動車(バス、タクシー) | 1年 | 1年 |
上の表は国土交通省の自動車検査登録総合ポータルサイト「自動車検査証の有効期間」の一覧から、わナンバーの判断に関係する行を抜き出したものです。軽自動車のわナンバーの扱いは次の節で説明します。
道路運送車両法第61条と施行規則第37条の読み方
第61条第1項は、車検証の有効期間を「旅客を運送する自動車運送事業の用に供する自動車、貨物の運送の用に供する自動車及び国土交通省令で定める自家用自動車であつて、検査対象軽自動車以外のもの」は1年、それ以外は2年と定めています。この「国土交通省令で定める自家用自動車」を具体的に書いたのが施行規則第37条第1項で、乗車定員11人以上の自家用自動車、専ら幼児の運送を目的とする自家用自動車と並んで、第3号に道路運送法第80条第1項の許可に係る自家用自動車が挙がっています。続く第61条第2項第1号は、1年とされる自動車のうち車両総重量8トン未満の貨物自動車と「国土交通省令で定める自家用自動車」について、初回を2年にしています。施行規則第37条第2項は、その対象を第1項第3号の自動車から貨物用と、乗車定員11人以上、幼児専用のものを除いたものとしています。つまり、乗車定員10人以下の乗用のわナンバーが初回2年の対象です。
- 第61条第1項:わナンバーの車(検査対象軽自動車を除く)の有効期間は1年。
- 施行規則第37条第1項第3号:道路運送法第80条第1項の許可に係る自家用自動車が1年の対象に入る。
- 第61条第2項第1号と施行規則第37条第2項:そのうち貨物用、乗車定員11人以上、幼児専用を除いたものは初回だけ2年。
- 第61条第3項:保安基準に適合しなくなるおそれがあると認められるときは、有効期間が短縮されることがある。
条文は「初めて」車検証を交付する場合の特例として2年を定めています。新車でわナンバーを登録すれば、最初の車検までは2年あります。今使っている代車をわナンバーへ切り替える場合は、どの手続きで切り替えるかで扱いが変わるため、管轄の運輸支局で確認してから計画を立ててください。わナンバーそのものの意味や使い道は、わにゃふるカービジネスの仕組みのページで説明しています。
軽自動車・貨物・マイクロバスのわナンバーの車検期間
軽自動車のわナンバーの車検期間は2年です。第61条第1項は1年とする自動車から検査対象軽自動車を除いているため、わナンバーでも軽自動車は「その他の自動車」として2年になります。自家用の軽乗用車には初回3年の特例がありますが、これは第61条第2項第2号の規定で、対象となる自家用乗用自動車から施行規則第37条第3項で定めるものが除かれています。同項第3号は道路運送法第80条第1項の許可を受けて業として有償で貸し渡す自家用自動車を挙げているので、わナンバーの軽乗用車に初回3年は適用されません。初回も2回目以降も2年です。代車に軽自動車を使っている工場では、わナンバーにしても車検の回数は今までの2年ごとと大きく変わりません。一方で、普通車や小型車の乗用を代車にしている工場は、2回目から毎年の車検になります。貨物車をわナンバーにする場合は、車両総重量8トン未満なら初回2年、以後1年です。
| わナンバーの車 | 初回 | 2回目以降 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 乗用(普通・小型、乗車定員10人以下) | 2年 | 1年 | 法第61条第1項、第2項第1号、規則第37条第1項第3号、第2項 |
| 軽自動車(乗用・貨物) | 2年 | 2年 | 法第61条第1項(検査対象軽自動車は1年から除外)、第2項第2号、規則第37条第3項第3号 |
| 貨物(車両総重量8トン未満) | 2年 | 1年 | 法第61条第1項、第2項第1号 |
| 乗車定員11人以上(マイクロバス) | 1年 | 1年 | 法第61条第1項、規則第37条第1項第1号、第2項 |
表は条文を読んで整理したものです。個別の車について、特に特種用途自動車や乗車定員11人以上の車をわナンバーにする場合は、管轄の運輸支局で有効期間を確認してください。
わナンバー車の定期点検と日常点検
わナンバーの車は、車検の間隔に加えて点検の間隔も短くなります。道路運送車両法第48条第1項第2号は、道路運送法第80条第1項の許可を受けて業として有償で貸し渡す自家用自動車について、6月ごとに国土交通省令で定める技術上の基準で点検することを使用者に義務づけています。自家用乗用車にあたる第3号の1年ごとに比べ、半分の間隔です。日常点検も、第47条の2第2項によって、第48条第1項第1号と第2号の自動車は1日1回、運行の開始前に行うことになっています。普通の自家用車のように「走行距離や運行時の状態から判断した適切な時期」でよいわけではありません。富山運輸支局がレンタカーの取扱いについて出している公示(令和4年6月1日)は、貸渡証に「貸渡期間が2日以上となる場合には、日常点検を借受人が実施することとなる」旨を書くよう定めています。
- 定期点検:6か月ごと(法第48条第1項第2号)。1年ごとの自家用乗用車より間隔が短い。
- 日常点検:1日1回、運行の開始前(法第47条の2第2項)。
- 2日以上の貸出:日常点検は借受人が行う旨を貸渡証に書く(富山運輸支局の公示の別記の例)。
- 整備管理者:施行規則第31条の3第4号により、乗車定員10人以下で車両総重量8トン未満のわナンバー車は10両以上で選任の対象になる(法第50条)。
整備工場がわナンバーを持つと、自社で点検整備ができる点は強みです。外注せずに6か月点検を回せるので、点検のための入庫待ちで貸出できない日を減らせます。点検の記録と貸出の予定を同じ画面で見られるようにしておくと、点検日に予約を入れてしまう失敗を防げます。
わナンバーの車検を受ける時期と満了日の数え方
わナンバーの車検は、満了日の2か月前から受けても有効期間が減りません。道路運送車両法施行規則第44条は、車検証の有効期間の起算日を原則として交付や記録をした日としつつ、満了日の2か月前から満了日までの間に継続検査を受けた場合は、満了日の翌日を起算日にすると定めています。1年車検の乗用のわナンバーで、たとえば満了日が5月31日なら、2か月前にあたる3月31日から5月31日までに継続検査を受ければ、次の満了日は翌年の5月31日です。それより前の3月中旬などに受けると起算日が検査の日に移るので、期間が実質的に短くなります。わナンバーは貸出の予定が入っているほど車検の入庫日を動かしにくいため、2か月の幅のなかで貸出の少ない週を選ぶのが実務的です。車検の時期が1年ごとに来る車が増えると、繁忙期と重なりやすくなります。年度末の3月はどこの工場も車検と保険修理が重なる時期なので、わナンバーの満了日が3月や4月に集中しないよう、配備するタイミングも考えておくと楽になります。
車検のたびにかかる費用も、回数に比例して増えます。車検を受けるときに納める自動車重量税は車検証の有効期間の年数分なので、1年車検なら1年分を毎年納めます。税額の表はわナンバーの自動車税・重量税で確認できます。自賠責保険も、車検証の有効期間の満了日まで切れ目なく掛けておく必要があり、詳しくはわナンバー車の保険にまとめました。
わナンバーの車検で工場の段取りが変わるところ
わナンバーの車検が毎年になると、工場の段取りで変わるのは3つです。1つ目は、車検の入庫中に貸し出せない日が毎年発生することです。代車を兼ねる車なので、車検の日に別の車を用意できるか、台数で吸収できるかを先に決めておきます。2つ目は、6か月点検と年1回の車検を合わせると、1台あたり年に2回は計画的に入庫させる必要がある点です。3つ目は、点検整備の記録を残す手間です。自家用の代車なら社内の判断で済ませていた点検も、わナンバーでは決まった間隔で行い、記録を整えておくことになります。わナンバーが自家用なのか事業用なのかという区分の話は、わナンバーは自家用?事業用?で詳しく扱っています。
整備工場にとって、この手間は自社の得意分野でもあります。点検も車検も自社のリフトで行えるので、外部に出す費用はかかりません。貸出のない日に点検を入れ、車検は満了日2か月前の枠で閑散週に寄せる、という回し方ができれば、車検が毎年になっても稼働日数への影響は小さくできます。逆に、整備の作業場を持たない中古車販売店がわナンバーを持つ場合は、外注先の予約まで含めて段取りを考える必要があります。
わナンバーの車検管理を自社で抱えるか、本部の仕組みを使うか
わナンバーの車を自社で持つ方法は大きく2つあります。1つは自社で道路運送法第80条の許可を受け、車検や点検、整備管理の体制もすべて自社で整える方法です。もう1つが、すでに許可を持つ会社のフランチャイズに加盟する方法です。わにゃふるカービジネスでは、加盟店が株式会社バンクレンタカーのフランチャイズに入り「バンクレンタカー カーネット(地域名)営業所」になるため、自社で許可を一から取る必要がありません。対象は入庫したお客様への代車としての貸出で、一般の個人のお客様への貸出はしません。配備車両プランを選ぶと、税金や車検点検整備、任意保険、車両保険、消耗品、修理までが月額に含まれるため、車検が毎年来ても出費の時期が読みやすくなります。自社の車をわナンバーにする方法もあります。どちらが合うかは、今の代車の台数と稼働日数で変わります。料金は価格ページで確認してください。
自社で許可を取る道を選ぶ場合の手続きの流れは、姉妹サイトの代車とレンタカー事業の解説サイトで詳しく紹介しています。どちらを選んでも、車検の期間と点検の間隔は法令で決まっているので変わりません。違いは、書類や体制をそろえる手間を誰が負うかです。
わナンバーを自社で始めるなら、わにゃふるカービジネス
車検が毎年になる乗用車を選ぶか、2年ごとの軽自動車を選ぶか、車種の選び方も含めてご相談いただけます。今お持ちの代車の台数と月の稼働日数をお知らせください。
まとめ
わナンバーの乗用車の車検期間は、道路運送車両法第61条と施行規則第37条により初回2年、2回目以降1年です。軽自動車のわナンバーは2年ごとで、自家用の軽乗用車にある初回3年は適用されません。定期点検は6か月ごと、日常点検は運行の前に1日1回と、自家用車より短い間隔で決められています。継続検査は満了日の2か月前から受けても有効期間が減らないので、貸出の少ない時期に寄せて計画できます。中古の代車をわナンバーへ切り替えるときの有効期間の扱いと、特種用途自動車などの個別の車については、管轄の運輸支局で確認してから進めてください。
わナンバーの車検に関するよくある質問
- わナンバーの乗用車は、毎年車検を受けるのですか?
- 道路運送車両法第61条第1項と施行規則第37条第1項第3号により、道路運送法第80条第1項の許可に係る自家用自動車(わナンバーの車)の車検証の有効期間は1年です。ただし同条第2項第1号により、初めて車検証が交付されるときは2年になります。国土交通省の自動車検査登録総合ポータルサイトの一覧でも、貸渡自動車(レンタカー)は初回2年、2回目以降1年と示されています。
- 軽自動車をわナンバーにした場合も1年ごとですか?
- 第61条第1項は1年の対象から検査対象軽自動車を除いているため、軽自動車のわナンバーは2年です。自家用の軽乗用車にある初回3年の扱いは、施行規則第37条第3項第3号が道路運送法第80条第1項の許可を受けて貸し渡す自家用自動車を除いているため、わナンバーの軽には当たりません。初回も2回目以降も2年と読めます。
- わナンバー車の定期点検は何か月ごとですか?
- 道路運送車両法第48条第1項第2号は、道路運送法第80条第1項の許可を受けて業として有償で貸し渡す自家用自動車を6月ごとの定期点検の対象にしています。自家用乗用車の1年ごとより間隔が短いため、車検とは別に半年に1回の点検の枠を工場の予定に組み込んでおく必要があります。
- 車検は満了日のどれくらい前から受けられますか?
- 道路運送車両法施行規則第44条により、有効期間が満了する日の2か月前から満了日までに継続検査を受ければ、新しい有効期間は満了日の翌日から数えます。2か月より前に受けると、受けた日から新しい有効期間が始まるため、手元の期間が短くなります。
- 使っている代車をわナンバーに切り替えると、残りの車検期間はどうなりますか?
- 第61条第2項の初回2年は「初めて」車検証を交付する場合の規定です。中古の自家用車をわナンバーに切り替えるときの有効期間は、どの手続きで切り替えるかによって変わります。この記事で確認した法令だけでは一律に答えられないため、手続きの前に管轄の運輸支局に確認してください。わにゃふるカービジネスで自社の車をわナンバーにする場合は、本部の案内に沿って進めます。
- わナンバーの車両や貸出の記録は、整備・販売の管理とまとめて扱えますか?
- 代車やわナンバー車の入庫・貸出の予定と、整備や販売の記録を別々に管理すると二重入力が増えます。自動車整備システム(自動車整備ソフト)や車両販売システム(車販ソフト)で顧客・車両・スケジュールを一元管理すると、貸出と入庫の段取りを1か所で確認できます。整備システム 比較や整備ソフト おすすめの情報を見るときは、整備ソフト 安いかどうかだけでなく、整備システム リースなしで始められるかも確かめてください。
参考にした一次情報
この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月5日確認)。
- 道路運送車両法 第47条の2、第48条、第50条、第61条(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000185
- 道路運送車両法施行規則 第31条の3、第37条、第44条(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/326M50000800074
- 道路運送法 第80条(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000183
- 国土交通省 自動車検査登録総合ポータルサイト 自動車検査証の有効期間:https://www.jidoushatouroku-portal.mlit.go.jp/jidousha/kensatoroku/about/inspect/validity-period/index.html
- 富山運輸支局 公示「貸渡人を自動車の使用者として行う自家用自動車の貸渡し(レンタカー)の取扱いについて」(令和4年6月1日):https://wwwtb.mlit.go.jp/hokushin/toyama/pd/pdf/renta_kouji.pdf
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