代車をわナンバーにして有償で貸し始めると、点検の決まりが普通の自家用車と変わります。乗用のレンタカーは定期点検が6か月ごとになり、点検整備記録簿の様式は別表第五、保存期間は1年です。日常点検も、1日1回、運行の前に行う決まりです。この記事では、道路運送車両法と自動車点検基準の条文を確かめ、レンタカー・わナンバー車の点検と点検整備記録簿について、点検の周期、使う別表、保存期間、車検の有効期間を車の種類ごとに整理します。
この記事で確認した一次情報
- 道路運送車両法(e-Gov法令検索)第47条の2(日常点検)、第48条(定期点検)、第49条(点検整備記録簿)、第50条(整備管理者)、第61条(自動車検査証の有効期間)
- 自動車点検基準(e-Gov法令検索)第1条から第4条、別表第一、別表第三、別表第五、別表第五の二
- 道路運送車両法施行規則(e-Gov法令検索)第31条の3(整備管理者の選任)、第37条(第61条の自家用自動車)
- 点検整備記録簿、特定整備記録簿及び指定整備記録簿の電磁的方法による作成、保存又は交付に関する取扱い(国土交通省)記録簿を電子で作成、保存するときの要件
レンタカー・わナンバー車の定期点検の周期
レンタカー・わナンバー車の定期点検は、乗用車と軽自動車が6か月ごと、普通と小型の貨物車が3か月ごとです。道路運送車両法第48条第1項は、点検の間隔を3つに分けています。第1号が3か月、第2号が6か月、第3号が1年です。第2号には「道路運送法第80条第1項の許可を受けて業として有償で貸し渡す自家用自動車」が挙げられており、わナンバーの乗用車はここに入ります。普通の自家用乗用車は第3号の1年ごとなので、わナンバーにすると点検の間隔は半分になります。同じレンタカーでも、貨物を運ぶ普通自動車と小型自動車、乗車定員11人以上の車などは、自動車点検基準第3条第1項によって第1号に入り、3か月ごとの点検です。軽の貨物車は同項に挙がっていないため、6か月ごとになります。
| わナンバーの車 | 定期点検の周期 | 使う別表 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 乗用(普通、小型、乗車定員10人以下) | 6か月、12か月 | 別表第五 | 法第48条第1項第2号、点検基準第2条第3号 |
| 軽自動車(乗用、貨物) | 6か月、12か月 | 別表第五 | 同上 |
| 貨物(普通、小型) | 3か月、12か月 | 別表第三 | 法第48条第1項第1号、点検基準第3条第1項第3号イ |
| 乗車定員11人以上(マイクロバスなど) | 3か月、12か月 | 別表第三 | 法第48条第1項第1号、点検基準第3条第1項第1号、第2号 |
| 二輪(レンタルバイク) | 6か月、12か月 | 別表第五の二 | 法第48条第1項第2号、点検基準第2条第4号 |
表は条文を読んで整理したものです。特種用途の車や大型特殊自動車をわナンバーにする場合は区分が変わるため、管轄の運輸支局で確かめてください。
日常点検は1日1回、運行の前に行う
わナンバーの車は、日常点検を1日1回、その日の運行を始める前に行います。道路運送車両法第47条の2第1項は、自家用乗用車の日常点検を「走行距離、運行時の状態等から判断した適切な時期」に行えばよいとしています。同条第2項は、第48条第1項第1号と第2号の自動車について、この定めにかかわらず1日1回、運行の開始前に点検するよう求めています。点検の項目は自動車点検基準の別表第一で、ブレーキの踏みしろと効き、ブレーキ液の量、タイヤの空気圧や亀裂、摩耗などです。自家用乗用車の別表第二とは別の表なので、代車をわナンバーに切り替えたら、貸し出す前の確認の手順も別表第一に合わせて作り直します。貸出の受付をする人が毎日同じ順番で確かめられるよう、点検の項目を貸出の書類と一緒に置いておくと漏れを防げます。
点検整備記録簿は別表第五の様式を使う
わナンバーの乗用車と軽自動車の点検整備記録簿は、自動車点検基準の別表第五に沿った様式を使います。別表第五の名前は「自家用貨物自動車等の定期点検基準」で、点検の時期は6月ごとと12月ごとの2段です。12月ごとの点検は、6月ごとの点検の項目に項目を足したものです。自家用乗用車で使い慣れた別表第六(1年ごと、2年ごと)とは項目が違うため、様式をそのまま流用できません。たとえば別表第五には、座席ベルトの状態の点検があり、注でレンタカーに限る項目とされています。走行距離が6か月あたり4,000キロメートル以下の車は、タイヤの状態や点火プラグの状態など一部の項目を省略できます。ただし、前回その項目を省略した場合は、今回は省略できません。
記録簿に書く事項は、道路運送車両法第49条第1項と点検基準第4条第1項で決まっています。点検の年月日、点検の結果、整備の概要、整備を完了した年月日、登録番号か車両番号、点検時の総走行距離、点検や整備を実施した者の氏名または名称と住所です。記録簿は車に備え置きます。別表ごとの様式の違いは点検整備記録簿の様式一覧(別表3・4・5・6・7の違い)で、欄ごとの書き方は12ヶ月点検・定期点検整備記録簿の書き方(別表5・6の記入例)で確かめられます。
代車をわナンバーに切り替えたときに変わること
定期点検は1年ごとから6か月ごとへ、記録簿の様式は別表第六から別表第五へ、日常点検は適切な時期から毎日の運行前へ変わります。切り替えた日から新しい決まりで回せるよう、記録簿の用紙と点検の予定を先に用意しておきます。
点検整備記録簿の保存期間は1年
わナンバー車の点検整備記録簿の保存期間は、記載の日から1年間です。自動車点検基準第4条第2項は、別表第三、第四、第五、第五の二を使う自動車の記録簿を1年間、別表第六と第七を使う自動車の記録簿を2年間と定めています。保存期間は車の名前で決まるのではなく、点検の周期で決まります。普通ナンバーの代車だったときは2年でしたが、わナンバーにすると1年です。期間が短くなるかわりに、6か月ごとに新しい記録が増えます。整備工場が特定整備を行ったときに作る特定整備記録簿は別の帳簿で、こちらは事業者の側で2年間保存します。貸渡簿のようにレンタカーの通達で求められる帳簿とも保存の決まりが違うので、帳簿ごとに分けて管理してください。
記録簿は紙でなくても保存できます。国土交通省は、点検整備記録簿を電磁的方法で作成、保存するときの取扱いを示しており、検索できること、作成や更新の日時と作業者が記録されること、バックアップを取ることなどを求めています。運輸支局や軽自動車検査協会の窓口で検査を受けるときに提示する場合は、書面で出す必要があります。
| 帳簿 | 保存期間 | 根拠 |
|---|---|---|
| 点検整備記録簿(わナンバー車、別表第五) | 記載の日から1年 | 点検基準第4条第2項 |
| 点検整備記録簿(自家用乗用車、別表第六) | 記載の日から2年 | 点検基準第4条第2項 |
| 特定整備記録簿(整備事業者が作成) | 2年 | 道路運送車両法第91条 |
レンタカー・わナンバー車の車検の有効期間
わナンバーの乗用車の車検の有効期間は、初回が2年、2回目以降が1年です。道路運送車両法第61条第1項が国土交通省令で定める自家用自動車の有効期間を1年とし、施行規則第37条第1項第3号がその対象に道路運送法第80条第1項の許可に係る自家用自動車を入れています。初回だけ2年になるのは、第61条第2項第1号と施行規則第37条第2項によります。軽自動車は第61条第1項で1年の対象から外れているため、わナンバーでも2年ごとです。貨物車は車両総重量8トン未満で初回2年、以後1年、乗車定員11人以上の車は初回から1年です。条文の読み方と満了日の数え方はわナンバーの車検期間で詳しく扱っています。
| わナンバーの車 | 車検(初回) | 車検(2回目以降) | 定期点検 | 記録簿の保存 |
|---|---|---|---|---|
| 乗用(普通、小型、乗車定員10人以下) | 2年 | 1年 | 6か月ごと | 1年 |
| 軽自動車(乗用、貨物) | 2年 | 2年 | 6か月ごと | 1年 |
| 貨物(普通、小型、車両総重量8トン未満) | 2年 | 1年 | 3か月ごと | 1年 |
| 乗車定員11人以上 | 1年 | 1年 | 3か月ごと | 1年 |
1年の点検と車検の回し方
乗用のわナンバー車は、1台あたり年に2回、計画して入庫させることになります。2回目以降の車検が1年ごとなので、車検の整備で12月ごとの点検を行い、その半年後に6月ごとの点検を入れる形です。軽自動車は車検が2年ごとのため、2年のあいだに6月ごとの点検が2回、12月ごとの点検が2回入ります。点検の日は貸し出せないので、貸出の予約が少ない曜日に寄せて予定を組みます。台数が増えたら、整備管理者にも注意が要ります。施行規則第31条の3第4号は、乗車定員10人以下で車両総重量8トン未満のわナンバー車を、使用の本拠ごとに10両以上使う場合に、整備管理者の選任を求めています。一級、二級、三級の整備士は整備管理者の資格の要件を満たすため、整備工場は自社の整備士を選任できます。
自社で点検と車検ができることは、整備工場がわナンバーを持つときの強みです。点検のために車を外へ出す日数がかからず、空いた時間に作業を入れられます。代車を有償で貸す仕組みそのものは、姉妹サイトのレンタカー事業の始め方(許可と申込の流れ)で説明しています。開業前に用意するものはわナンバー開業の準備チェックリスト、保険の決まりはわナンバー車の保険で確認できます。
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無償で貸していた代車を、わナンバーの代車として有償で貸し出せるようになります。点検の回し方や配備する台数のご相談は、お電話 03-5256-7877(平日 9:00〜12:00、13:00〜18:00)でも受け付けています。
まとめ
レンタカー・わナンバーの乗用車は、定期点検が6か月ごと、記録簿の様式は別表第五、保存期間は1年、車検は初回2年で以後1年です。日常点検は毎日の運行前に行います。普通と小型の貨物車、乗車定員11人以上の車は3か月ごとの点検で、別表第三を使います。代車をわナンバーに切り替える前に、記録簿の用紙、日常点検の手順、点検の予定の3つを用意しておくと、切り替えた日から決まりどおりに回せます。
レンタカーの点検と点検整備記録簿に関するよくある質問
- レンタカーの点検整備記録簿は別表第五と別表第六のどちらですか?
- 乗用車と軽自動車のレンタカーは別表第五です。別表第六は、レンタカーではない自家用乗用車に使います。普通と小型の貨物のレンタカー、乗車定員11人以上のレンタカーは別表第三、レンタルバイクは別表第五の二です。
- レンタカーの点検整備記録簿は何年保存しますか?
- 記載の日から1年間です。自動車点検基準第4条第2項が、別表第三、第四、第五、第五の二を使う自動車の記録簿を1年間と定めています。自家用乗用車は2年間です。
- あまり走っていないわナンバー車は、点検の項目を省略できますか?
- 別表第五の注により、走行距離が6か月あたり4,000キロメートル以下の車は、一部の項目を省略できます。前回その項目を省略した場合は、今回は省略できません。省略した項目の書き方は、記録簿の記号の決まりに従います。
- 軽自動車のわナンバーも6か月ごとの点検ですか?
- 6か月ごとです。道路運送車両法第48条第1項第2号は、車の大きさを問わず、許可を受けて有償で貸し渡す自家用自動車を対象にしています。車検は軽自動車なので2年ごとです。
- レンタカーの日常点検は誰が行いますか?
- 道路運送車両法第47条の2第2項は、使用者または自動車を運行する者が、1日1回、運行の開始前に行うと定めています。貸し出す前の点検は、使用者である貸渡人が行います。富山運輸支局のレンタカーの取扱いに関する公示は、貸渡期間が2日以上になる場合は日常点検を借受人が実施することになる旨を、貸渡証に記載する例として示しています。
- 点検や貸出の記録は、整備や販売の管理とまとめて扱えますか?
- 6か月ごとの点検日と貸出の予定を別々に管理すると、点検日に予約を入れてしまう行き違いが起きます。自動車整備システム(自動車整備ソフト)や車両販売システム(車販ソフト)で車両ごとの点検日と入庫の予定を同じ画面で見られるようにすると、こうした行き違いを防げます。整備システム 比較や整備ソフト おすすめの情報を見るときは、整備ソフト 安いかどうかに加えて、整備システム リースなしで始められるかも確かめてください。
参考にした一次情報
- 道路運送車両法(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000185
- 自動車点検基準(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/326M50000800070
- 道路運送車両法施行規則(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/326M50000800074
- 道路運送法(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000183
- 国土交通省 点検整備記録簿、特定整備記録簿及び指定整備記録簿の電磁的方法による作成、保存又は交付に関する取扱い:https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha/tenkenseibi/images/kirokubodensika.pdf
- 北陸信越運輸局 富山運輸支局 レンタカーの取扱いに関する公示:https://wwwtb.mlit.go.jp/hokushin/toyama/pd/pdf/renta_kouji.pdf
- 国土交通省 自動車検査登録総合ポータルサイト「自動車検査証の有効期間」:https://www.jidoushatouroku-portal.mlit.go.jp/jidousha/kensatoroku/about/inspect/validity-period/index.html
- 点検整備記録簿の保存期間を車両区分別の早見表で確かめる記録簿の解説サイト
- 代車とレンタカーの違い(ナンバー・料金・保険)代車ビジネス
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