
「わナンバーは個人で持てるのか」「個人名義でも登録できるのか」という質問は、整備工場や中古車販売店の経営者からもよく届きます。結論を先に書くと、個人でも国土交通大臣の許可を受ければわナンバーの車を持てます。ただし、わナンバーは貸し渡すための車に付く区分なので、マイカーに付け替えて自分で乗るためのナンバーとは違います。この記事では道路運送法第80条、国土交通省のレンタカー通達、自動車登録規則を実際に確認し、個人で持つ場合の条件を整理しました。わナンバーは個人で持てる?という疑問に対して、個人名義の条件と許可の要点を一次情報で確認していきます。
この記事で確認した一次情報
- 道路運送法(e-Gov法令検索)第78条(自家用自動車の定義)、第80条(有償貸渡し)、第98条(罰則)
- 貸渡人を自動車の使用者として行う自家用自動車の貸渡し(レンタカー)の取扱いについて(国土交通省通達、令和4年5月31日改正)許可基準、保険、申請書類、許可の条件
- 自動車登録規則(e-Gov法令検索)第13条と別表第三(平仮名の区分)
- 法令適用事前確認手続 回答書(国土交通省自動車局旅客課長、令和4年10月26日)個人間の共同使用と有償貸渡しの境目
- 自家用自動車有償貸渡(レンタカー事業)許可申請等の手引き(新潟運輸支局)標準処理期間と登録免許税
わナンバーを個人で持つための条件
わナンバーを個人で持つための条件は、その個人が道路運送法第80条第1項の許可を受け、貸渡人として車を有償で貸し渡すことです。同項は「自家用自動車は、国土交通大臣の許可を受けなければ、業として有償で貸し渡してはならない」と定め、申請者を法人に限っていません。国土交通省の通達「貸渡人を自動車の使用者として行う自家用自動車の貸渡し(レンタカー)の取扱いについて」(令和4年5月31日改正)は、許可申請の添付書類として会社登記簿謄本を挙げたうえで「個人にあっては住民票」と書いています。個人事業主でも申請できる前提の書き方です。一方で、わナンバーは貸し渡すための車に割り当てられる番号なので、許可を受けずに自分のマイカーへ付けられません。自分で乗るだけの車は、普通のひらがなの自家用ナンバーで登録されます。
| やりたいこと | わナンバーになるか | 根拠 |
|---|---|---|
| 個人が許可を受けて、車を有償で貸し出す | なる(個人名義の貸渡人として登録) | 道路運送法第80条第1項、自動車登録規則別表第三 |
| 自分のマイカーに、わナンバーを付けて乗る | ならない | 別表第三の「わ・れ」は第52条の許可に係る自家用自動車の区分 |
| レンタカー会社から長く借りて乗る | わナンバーのまま(使用者はレンタカー会社) | 通達の題名どおり、貸渡人が自動車の使用者 |
| 許可を受けずにマイカーを業として有償で貸す | できない(罰則の対象) | 道路運送法第80条第1項、第98条 |
わナンバーの意味そのものはわにゃふるカービジネスの説明ページにまとめています。この記事では「個人で」という点に絞って見ていきます。
個人名義のわナンバーと車検証の使用者
個人名義のわナンバーとは、許可を受けた個人が貸渡人となり、自動車検査証の使用者としてその個人が登録されている状態を指します。国土交通省の通達の題名が「貸渡人を自動車の使用者として行う自家用自動車の貸渡し」となっているとおり、レンタカーは貸す側が使用者のまま、借りる人に車を渡す仕組みです。自動車登録規則第13条は、自動車登録番号の平仮名を「自動車運送事業の用に供するかどうかの別等を表示する」ものと定め、別表第三で区分ごとの文字を決めています。登録自動車では、道路運送法施行規則第52条の規定により受けた許可に係る自家用自動車が「れ」と「わ」です。検査対象軽自動車は道路運送車両法施行規則別表第二の五で「わ」だけが割り当てられ、軽の「り」と「れ」は事業用自動車の区分になっています。つまり、個人か法人かで文字が変わることはなく、許可に係る車かどうかで決まります。
| 車の種類 | わナンバー相当の平仮名 | 定めている規定 |
|---|---|---|
| 登録自動車(普通車、小型車) | れ、わ | 自動車登録規則 別表第三 第3号 |
| 検査対象軽自動車 | わ | 道路運送車両法施行規則 別表第二の五 第3号 |
| 二輪の小型自動車 | ろ、わ | 道路運送車両法施行規則 別表第三 第3号 |
同じ「れ」でも、登録自動車では許可に係る自家用自動車、検査対象軽自動車では事業用自動車の区分です。軽自動車で「れ」を見かけても、わナンバーと同じ扱いとは限りません。
自家用と事業用の区分の違いはわナンバーは自家用?事業用?の記事で詳しく扱っています。
個人がレンタカーの許可を受けるときの審査基準と保険
個人がレンタカーの許可を受けるときの審査は、通達の「許可基準」に書かれた3点で行われます。1つ目は欠格事由に当たらないことで、通達は1年以上の懲役又は禁錮の刑の執行を終えてから2年を経過していない者や、運送事業や有償貸渡しの許可を取り消されて2年を経過していない者などを挙げています。2つ目は、申請日前2年以降に自動車運送事業経営類似行為で処分を受けていないことです。3つ目は貸渡自動車の保険で、対人保険は1人当たり8,000万円以上、対物保険は1件当たり200万円以上、搭乗者保険(搭乗者が補償対象となる人身傷害保険を含む)は1人当たり500万円以上に加入することが求められます。道路運送法第80条第2項は、貸渡しの態様が自動車運送事業の経営に類似していると認める場合を除き、許可をしなければならないと定めています。
| 項目 | 通達と運輸支局資料の記載 |
|---|---|
| 申請先 | 主たる事務所の所在地を管轄する運輸支局長 |
| 主な添付書類 | 貸渡料金と貸渡約款、住民票(個人の場合)、欠格事由に該当しない旨の確認書、事務所別車種別配置車両数一覧表、貸渡しの実施計画 |
| 実施計画に書くこと | 事務所ごとの責任者、従業員への指導や研修、保険の加入計画、整備管理者(整備責任者)の配置計画など |
| 標準処理期間 | 1か月(新潟運輸支局の手引き) |
| 登録免許税 | 9万円、許可日から1か月以内に納付(新潟運輸支局の手引き) |
| 許可後 | 保険加入と帳簿の作成を済ませ、車両をわナンバーで登録 |
許可を受けた後に続く義務
許可は取って終わりにはなりません。通達は許可の条件として、貸渡簿を書面か電磁的記録で備えて貸渡しの終了日から2年間保存すること、借受人に貸渡証を交付して運転者に携行させること、貸渡料金と貸渡約款を事務所の掲示やウェブサイトで明示すること、自己の名義を他人に利用させないことを挙げています。毎年5月31日までに前年度の貸渡実績報告書と事務所別車種別配置車両数一覧表を提出する決まりもあります。中部運輸局の案内では、乗車定員10人以下で車両総重量8トン未満の車を1つの事務所に10両以上置くと、整備管理者の選任と届出が必要になります。
- 貸渡簿:借受人と運転者の氏名、住所、運転免許証の番号、登録番号、貸渡日時、走行キロ数、貸渡料金、事故に関する事項などを記録
- 貸渡証:運行中に携帯し、警察官又は地方運輸局や運輸支局の職員の請求があったときは呈示する旨などを記載
- 変更の届出:氏名や住所、貸渡料金と約款、事業の廃止は遅滞なく届け出る
- 事務所の新設や移転:あらかじめ届け出る
個人で手続きを一から進める場合の流れはわナンバーを取得するまでの流れ、詳しい許可の手順は姉妹サイトの解説で確認できます。
許可を受けずに個人の車を有償で貸した場合
許可を受けずに個人の車を業として有償で貸し渡すと、道路運送法第80条第1項に違反します。同法第98条は、第80条第1項の規定により許可を受けてしなければならない事項を許可を受けないでしたときは、その違反行為をした者を100万円以下の罰金に処すると定めています。ここで判断の分かれ目になるのは「業として」「有償で」という2つの言葉です。家族の車を無償で使わせる場合のように、有償でない貸し借りは同項の対象から外れます。また、同項のただし書は「その借受人が当該自家用自動車の使用者である場合は、この限りでない」としており、借りる人がその車の使用者である貸し方は許可の対象外です。個人間カーシェアのように、境目に近い使い方をするときは、自分で判断せず管轄の運輸支局に確認するのが確実です。
個人間カーシェアの「共同使用」と有償貸渡しの境目
国土交通省自動車局旅客課長は、個人間カーシェアの仲介サービスに関する法令適用事前確認手続の回答(令和4年10月26日など)で、車の維持に必要な実費を按分した「共同使用料」で同じ車を使う形について見解を示しています。回答は、共同使用料の設定が形骸化したり、日や時間単位だけで使用料を決めたりするような場合は「自家用自動車の共同使用」の範囲を超え、自家用自動車有償貸渡業との差はないと考えられるため、車両の保有者が許可を要する場合もあるとしています。共同使用と言えるには、使う人それぞれが車の使用と管理に実質的な権限と責任を持ち、日常点検だけでなく定期点検整備も行うことが必要という考え方です。
法令適用事前確認手続の回答は、照会者が示した事実だけを前提にした見解で、捜査機関の判断や司法判断を拘束しないと回答書自身に書かれています。個別のケースは運輸支局に相談してください。
レンタカー上がりの車を個人で買ったときのナンバー
レンタカーとして使われていた車を個人が買い、自分で乗る場合は、わナンバーのままでは乗り続けられません。わ・れの平仮名は、自動車登録規則別表第三で「道路運送法施行規則第52条の規定により受けた許可に係る自家用自動車」に割り当てられた区分です。個人が自家用として乗る車はこの区分に当てはまらず、別表第三の「自家用自動車」の平仮名で登録されることになります。道路運送車両法第13条は、所有者が変わったときは新しい所有者が15日以内に移転登録を申請すると定め、第14条は、申請があった場合などに自動車登録番号が基準に合わなくなったと認めるときは番号を変更すると定めています。中古車販売店でレンタカー上がりの車を扱う場合も、販売時にこの手続きが伴います。
具体的な書類や窓口はわナンバーから普通ナンバーへ戻す手続きの記事にまとめています。軽自動車は軽自動車検査協会の窓口になる点も、あわせて確認してください。
個人事業主の整備工場がわナンバーを持つ2つの道
個人事業主の整備工場や鈑金工場がわナンバーを持つ道は、自社で道路運送法第80条の許可を受ける方法と、許可を持つ事業者のフランチャイズに加盟する方法の2つです。自社で許可を受ける場合は、許可申請、登録免許税9万円の納付、保険加入、帳簿の作成、車両の登録と進み、許可後も貸渡簿の保存や毎年5月31日までの実績報告が続きます。わにゃふるカービジネスは後者で、すでにレンタカー事業の許可を持つ株式会社バンクレンタカーのフランチャイズに加盟し、加盟店が「バンクレンタカー カーネット(地域名)営業所」になる形をとります。本部が許可を保有しているため、加盟店側で許可を取得する必要はありません。運用開始までは最短2か月程度と案内しています。
| 比べる点 | 自社で許可を受ける | わにゃふるカービジネスに加盟する |
|---|---|---|
| 許可 | 自社(個人事業主本人)が申請 | 本部の許可で運用し、加盟店は営業所になる |
| 貸す相手 | 許可の範囲で自由に設定 | 自社に入庫したお客様だけ(一般の方への貸出はしない) |
| 保険 | 対人8,000万円以上などを自社で手配 | 本部でまとめて手配 |
| 必要な備品 | 貸渡証や約款などを自社で用意 | スタートパックとして一式届く |
| 加盟などの条件 | 通達の許可基準 | 車庫登録が可能な駐車場、創業3年以上、従業員2人以上、店舗あり |
向かないケースもあります。1人で営業していて従業員がいない工場や、創業から3年未満の工場は、加盟条件に届きません(相談で加盟できる場合はあります)。一般のお客様に広く貸したい場合も、自社の入庫客に限る仕組みとは合いません。そうした場合は自社で許可を受ける道を検討してください。加盟の流れは申込方法、費用は価格ページで確認できます。
わナンバーを自社で始めるなら、わにゃふるカービジネス
個人事業主の整備工場でも、条件によっては加盟できる場合があります。自社の代車をわナンバーにするか、配備車両を用意するかもあわせてご相談ください。お電話は 03-5256-7877(平日 9:00〜12:00、13:00〜18:00)です。
まとめ
わナンバーは個人でも持てますが、それは個人が道路運送法第80条の許可を受け、貸渡人として車を有償で貸し出す場合に限られます。マイカーに付け替えて自分で乗る番号にはならず、レンタカー上がりの車を個人で買えば番号は変わります。許可を受けると、対人8,000万円以上などの保険、貸渡簿の2年保存、貸渡証の交付、毎年の実績報告が続きます。整備工場が自社の入庫客に貸す目的であれば、自社で許可を取る道とフランチャイズで始める道を、手間と条件で比べて選んでください。
わナンバーと個人に関するよくある質問
- 個人でもわナンバーの車を持てますか?
- 持てます。わナンバーは道路運送法第80条第1項の許可を受けて有償で貸し渡す自家用自動車に付く番号で、許可の申請者は法人に限られていません。国土交通省の通達は、申請書の添付書類として「個人にあっては住民票」を挙げています。許可を受けた個人が貸渡人になり、その車の使用者として登録される形です。
- 自分のマイカーを、わナンバーにしてから乗り続けられますか?
- わナンバーは貸し渡すための車に割り当てられる区分なので、許可を受けて貸渡しを行う事業の車でなければ付きません。自分で乗るだけの車は、自動車登録規則別表第三の「自家用自動車」の区分(さ行からろまでの平仮名)で登録されます。
- 友人に車を貸してガソリン代をもらうのも許可が要りますか?
- 道路運送法第80条が許可を求めているのは「業として有償で貸し渡す」場合です。個別の事情で判断が分かれるため、この記事では断定しません。参考として、国土交通省は個人間カーシェアに関する回答で、実費を按分した「共同使用」の範囲を超え、日や時間単位だけで使用料を決めるような場合は許可を要する場合もあるという見解を示しています。迷うときは管轄の運輸支局に確認してください。
- レンタカー上がりの中古車を個人で買うと、わナンバーのままですか?
- 許可を受けた貸渡しに使わない車は、わ・れの区分に当てはまらなくなります。道路運送車両法第14条は、自動車登録番号が基準に合わなくなったときは番号を変更すると定めています。名義を移す移転登録は、所有者が変わった日から15日以内に申請します。
- わにゃふるカービジネスは個人で申し込めますか?
- 加盟条件は、車庫登録が可能な駐車場の確保、創業3年(36か月)以上、従業員2人以上、店舗があることの4つです。対象は整備工場、鈑金工場、中古車販売店などの事業者で、一般の方への貸出も行いません。条件を満たさない場合でも相談で加盟できる場合があるため、個人事業主の工場はまずお問い合わせください。
- わナンバーの車両や貸出の記録は、整備・販売の管理とまとめて扱えますか?
- 代車やわナンバー車の入庫・貸出の予定と、整備や販売の記録を別々に管理すると二重入力が増えます。自動車整備システム(自動車整備ソフト)や車両販売システム(車販ソフト)で顧客・車両・スケジュールを一元管理すると、貸出と入庫の段取りを1か所で確認できます。整備システム 比較や整備ソフト おすすめの情報を見るときは、整備ソフト 安いかどうかだけでなく、整備システム リースなしで始められるかも確かめてください。
参考にした一次情報
この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月5日確認)。
- 道路運送法(e-Gov法令検索)第78条、第80条、第98条:https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000183
- 道路運送車両法(e-Gov法令検索)第13条、第14条:https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000185
- 自動車登録規則(e-Gov法令検索)第13条、別表第三:https://laws.e-gov.go.jp/law/345M50000800007
- 道路運送車両法施行規則(e-Gov法令検索)別表第二の五、別表第三:https://laws.e-gov.go.jp/law/326M50000800074
- 国土交通省 レンタカー事業:https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk3_000061.html
- 国土交通省 貸渡人を自動車の使用者として行う自家用自動車の貸渡し(レンタカー)の取扱いについて:https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001485360.pdf
- 国土交通省 法令適用事前確認手続 回答書(令和4年10月26日):https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001572223.pdf
- 北陸信越運輸局新潟運輸支局 自家用自動車有償貸渡(レンタカー事業)許可申請等の手引き:https://wwwtb.mlit.go.jp/hokushin/niigata/use/shinsei/rentatebiki2023.pdf
- 中部運輸局 レンタカー事業を経営する方へ:https://wwwtb.mlit.go.jp/chubu/jikou/rentacar/renta-tetsuduki.pdf
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