
代車をわナンバーにして有償で貸し出すと、その車に掛ける保険の考え方が変わります。お客様が運転して事故を起こしたときに、誰の保険で、いくらまで補償できるのかを先に決めておかないと、貸し出しは始められません。わナンバー車に掛ける保険は、法律で加入が義務づけられた自賠責保険と、運輸支局が許可の条件として補償額の下限を定めている任意保険の2本立てです。この記事では、わナンバーの車そのものに掛ける保険に絞って、自賠責の保険期間と保険料、任意保険に求められる補償額、車両保険の考え方を一次情報で整理しました。テーマは、わナンバー車の保険です。自賠責と任意保険で求められる補償額を順に確認します。
この記事で確認した一次情報
- 自動車損害賠償保障法(e-Gov法令検索)第3条(賠償責任)、第5条(契約の締結強制)、第9条(保険証明書の提示と保険期間)
- 自動車損害賠償保障法施行令(e-Gov法令検索)第2条(保険金額)
- 損害保険料率算出機構 自賠責保険基準料率(2026年4月30日届出)車種別、保険期間別の基準料率
- 富山運輸支局 公示 レンタカーの取扱いについて(令和4年6月1日)許可基準と許可の条件に書かれた自動車保険の補償額
わナンバー車に必要な保険の全体像
わナンバー車に必要な保険は、自賠責保険と任意保険の2つです。自賠責保険は自動車損害賠償保障法第5条により、契約が結ばれていない自動車は運行の用に供してはならないと定められた強制保険で、補償するのは事故の相手方の人身損害です。保険金額は同法施行令第2条で、死亡による損害が1人3,000万円、傷害による損害が1人120万円などと決まっています。相手の車や建物を壊したときの損害や、貸し出した車そのものの損害は、自賠責保険の対象外です。そこで任意保険が必要になります。わナンバーの車は道路運送法第80条第1項の許可のもとで貸し出される自家用自動車で、運輸支局はその許可の条件として、対人、対物、搭乗者の3つの補償について金額の下限を示しています。さらに、貸し出した車が壊れたときに備える車両保険をどうするかを決めれば、わナンバー車の保険の骨組みがそろいます。
| 保険 | 根拠や基準 | 主に補償するもの |
|---|---|---|
| 自賠責保険 | 自動車損害賠償保障法第5条(締結強制) | 事故の相手方の死亡や傷害(死亡3,000万円、傷害120万円など) |
| 任意保険(対人) | 運輸支局の公示の許可基準と条件:1人当たり8,000万円以上 | 自賠責保険を超える相手方の人身損害 |
| 任意保険(対物) | 同:1件当たり200万円以上 | 相手方の車や物の損害 |
| 任意保険(搭乗者) | 同:1人当たり500万円以上(人身傷害保険を含む) | 乗っていた人の死傷 |
| 車両保険 | 公示に金額の定めはない | 貸し出した車そのものの損害 |
わナンバー車の自賠責保険の保険期間
わナンバー車の自賠責保険は、車検証の有効期間が満了する日まで切れ目なく掛けておく必要があります。自動車損害賠償保障法第9条第1項は、新規検査や継続検査などを受けるときに自賠責保険の証明書の提示を求め、第5項は、証明書に書かれた保険期間が車検証に記録すべき有効期間の満了日までの期間の全部と重ならない場合は、検査の処分をしないと定めています。乗用のわナンバーは道路運送車両法第61条により初回2年、2回目以降1年の車検なので、自賠責保険も2回目以降は1年ごとの車検に合わせて毎年契約することになります。軽自動車のわナンバーは2年ごとの車検なので、2年分を覆う期間で契約します。期間の月数は車検を受ける日と満了日の関係で変わるため、保険会社や代理店と相談して決めてください。車検期間の根拠はわナンバーの車検期間で詳しく説明しています。
- 自賠責保険が切れた車は運行の用に供してはならない(自賠法第5条)。貸出の予定があっても動かせません。
- 継続検査では、有効期間の満了日まで全部重なる保険期間の証明書が必要(自賠法第9条第5項)。
- 乗用のわナンバーは2回目以降の車検が1年ごとなので、自賠責保険の更新も毎年になる。
わナンバー車の自賠責保険料(2026年11月からの基準料率)
自賠責保険の保険料は、損害保険料率算出機構が算出して金融庁長官に届け出る基準料率で決まります。機構の案内によると、2026年4月30日の届出で基準料率は平均6.2%の引上げとなり、新しい料率は2026年11月1日以降に保険期間が始まる契約に適用されます。代表例の自家用乗用自動車の24か月契約(離島と沖縄県を除く地域)は、17,650円から18,560円へ910円の引上げです。会員の保険会社はすべてこの基準料率を使っていると機構は説明しています。下の表は、2026年11月1日以降に始まる契約の基準料率表から、わナンバーでよく使われる乗用車と軽自動車の欄を抜き出したものです。基準料率表の車種区分には貸渡用の独立した欄がなく、営業用乗用自動車の欄はタクシーやハイヤーを地域ごとに分けた区分になっています。わナンバーの車がどの欄で契約されるかは、加入する保険会社で確認してください。
| 車種(基準料率表の区分) | 12か月 | 13か月 | 24か月 | 25か月 |
|---|---|---|---|---|
| 自家用乗用自動車 | 12,250円 | 12,770円 | 18,560円 | 19,070円 |
| 軽自動車(検査対象車) | 12,300円 | 12,830円 | 18,660円 | 19,170円 |
金額は損害保険料率算出機構「自動車損害賠償責任保険基準料率(2026年4月30日届出)」の、離島以外の地域(沖縄県を除く)に適用する基準料率です。2026年10月31日までに保険期間が始まる契約には、それまでの料率が適用されます。
乗用のわナンバーは2回目以降の車検が毎年なので、自家用車のように2年分をまとめて払う形にはなりません。1台あたりの年間の保険料は12か月や13か月の欄が目安になります。配備する台数を決めるときは、自賠責保険料と自動車重量税を毎年の車検費用として見込んでおくと、資金繰りが読みやすくなります。重量税の額はわナンバーの自動車税・重量税にまとめています。
わナンバー車の任意保険に求められる補償額
わナンバー車の任意保険には、運輸支局が許可の段階で補償額の下限を定めています。富山運輸支局の公示「貸渡人を自動車の使用者として行う自家用自動車の貸渡し(レンタカー)の取扱いについて」(令和4年6月1日)は、許可基準の第3項で、貸渡自動車は事故を起こした場合に備えて十分な補償を行える自動車保険に加入するものであることとし、対人保険1人当たり8,000万円以上、対物保険1件当たり200万円以上、搭乗者保険1人当たり500万円以上を挙げています。搭乗者保険には、搭乗者が補償対象となる人身傷害保険も含むと書かれています。同じ金額は許可に付ける条件の第4項にも書かれているので、許可を受けた後も、この補償額の保険に入り続けることが求められます。国土交通省自動車交通局長が各地方運輸局長にあてた通達(自旅第138号、平成18年3月30日までの改正を反映した版)にも、同じ3つの金額が許可基準として書かれています。自社で許可を取る場合は、管轄の運輸支局の公示で金額を確かめてください。
| 補償の種類 | 公示に書かれた下限 | 単位 |
|---|---|---|
| 対人保険 | 8,000万円以上 | 1人当たり |
| 対物保険 | 200万円以上 | 1件当たり |
| 搭乗者保険(人身傷害保険を含む) | 500万円以上 | 1人当たり |
公示の金額は許可を受けるための最低限の基準で、事故の損害額がこれを超えれば不足分は貸渡人の負担になりえます。自動車損害賠償保障法第3条は、自己のために自動車を運行の用に供する者に、他人の生命や身体を害したときの賠償責任を負わせています。誰が責任を負うかは事故の状況で決まるため、補償額は下限に合わせるより、保険会社や代理店と相談して余裕を持たせるのが安全です。
自家用の自動車保険とわナンバー用の契約の違い
今の代車に掛けている自家用の自動車保険を、そのままわナンバー車に使えると考えるのは危険です。わにゃふるカービジネスの案内では、わナンバー(レンタカー登録車)は自家用車と扱いが変わり、任意保険もレンタカー用(貸渡用)の契約が必要になると説明しています。わナンバー車は、工場の従業員でなく、入庫したお客様が運転するのが前提です。運転する人が貸出のたびに変わり、事故の連絡や対応も貸渡人として受けることになります。公示が定める貸渡証の記載事項にも、貸渡自動車に係る事故や故障が発生した場合の処置(処置方法、連絡先など)を書くことが含まれています。保険の契約内容と、貸渡証に書く事故時の連絡の流れを合わせておくと、事故が起きたときに現場で迷いません。わにゃふるの案内では、この保険料が想像以上に高く、自力でレンタカー事業を立ち上げようとして断念する事業者は少なくないとも書かれています。
お客様側の自動車保険との関係
保険修理で入庫したお客様の多くは、自分の自動車保険にレンタカー費用を補償する特約を付けています。わナンバー車を貸し出したときの貸出料金は、この特約を使って保険会社に請求できるため、お客様の負担は今までと変わりません。ただし、ここでいう特約はお客様の契約の話で、わナンバー車そのものに掛ける任意保険とは別物です。特約の仕組みや代車の扱いは姉妹サイトの代車とレンタカー事業の解説サイトで紹介しています。
わナンバー車の車両保険と免責補償
わナンバー車の車両保険は、公示に金額の定めがなく、加入するかどうかは貸渡人の判断です。とはいえ、お客様に貸し出す車は自社の従業員が運転する代車より事故の起きやすさが読みにくく、修理の間は貸出もできません。わにゃふるカービジネスの配備車両プランは、車両、オプション、税金、車検点検整備に加えて、任意保険と車両保険、消耗品、修理までを月額に含めています。代車を個別に維持していると、車検のたびのまとまった出費や任意保険の別請求で年間の費用が読みにくくなりますが、月額に入っていれば予算を固定できます。導入企業のなかには、免責補償制度サービスを組み合わせて利益を上げている例もあり、会員専用サイトでその組み合わせ方を共有しています。自社の車をわナンバーにする場合は準備料金がかからない代わりに、わナンバー用の任意保険の加入費用が別に必要です。
- 配備車両プラン:任意保険と車両保険が月額に含まれる。車検点検整備、税金、消耗品、修理も含む。
- 自社の車をわナンバーにする場合:わナンバー用の任意保険の加入費用が別途必要。申込方法のページに自社車両保険登録依頼書がある。
- 免責補償制度サービス:導入企業の利益につながっている例がある。内容は資料で確認する。
わナンバー車の保険を自力で手配する場合とわにゃふるの場合
わナンバー車の保険を自力で手配する場合は、まず自社で道路運送法第80条の許可を受け、公示の補償額を満たす貸渡用の任意保険を保険会社と1台ずつ契約していくことになります。わにゃふるカービジネスの案内では、この保険料の見積りが想像以上に高くて驚き、必要書類も全部そろっているなら初めからわにゃふるで始めれば良かった、という加盟店の声が紹介されています。わにゃふるでは本部で保険をまとめて手配するため、個別に加入するより任意保険料が安くなると案内しています。加盟店は株式会社バンクレンタカーのフランチャイズに入って「バンクレンタカー カーネット(地域名)営業所」になるので、自社で許可を一から取る必要もありません。一方で、貸し出す相手は入庫したお客様に限られ、一般の個人のお客様への貸出はしません。看板を出して広く貸すレンタカー業をしたい場合には向きません。費用の内訳は価格ページ、申込書類は申込方法のページで確認できます。
わナンバーを自社で始めるなら、わにゃふるカービジネス
今お使いの代車の台数と車種、現在の保険の契約内容をお知らせいただければ、わナンバーにした場合の保険の手配方法をご案内します。
まとめ
わナンバー車に掛ける保険は、強制保険の自賠責保険と、運輸支局が補償額の下限を定める任意保険の2本立てです。自賠責保険は車検証の有効期間の満了日まで切れ目なく掛ける必要があり、乗用のわナンバーは2回目以降の車検が1年ごとなので更新も毎年になります。2026年11月1日以降に始まる契約の基準料率は、自家用乗用自動車の12か月で12,250円です。任意保険は対人1人8,000万円以上、対物1件200万円以上、搭乗者1人500万円以上が公示の基準で、お客様が運転する前提の貸渡用の契約が必要です。車両保険に金額の定めはありませんが、貸出中の事故に備えるなら検討しておくべき項目です。わナンバーの車がどの料率区分で契約されるかは、保険会社で確認してください。
わナンバー車の保険に関するよくある質問
- わナンバー車の任意保険は、いくらの補償額にすればよいですか?
- 富山運輸支局がレンタカーの取扱いについて出している公示(令和4年6月1日)は、許可基準と許可の条件の両方で、貸渡自動車が対人保険1人当たり8,000万円以上、対物保険1件当たり200万円以上、搭乗者保険(搭乗者が補償対象となる人身傷害保険を含む)1人当たり500万円以上の自動車保険に加入することを求めています。これは最低限の基準なので、実際の金額は保険会社や代理店と相談して決めてください。
- 自賠責保険は何か月で契約すればよいですか?
- 自動車損害賠償保障法第9条第5項により、車検を受けるときに提示する自賠責保険の保険期間は、車検証に記録する有効期間の満了日までの期間の全部と重なっている必要があります。乗用のわナンバーは2回目以降の車検が1年ごとなので、その期間をすべて覆う月数で契約します。具体的な月数は、加入する保険会社や代理店で確認してください。
- わナンバー車の自賠責保険料はいくらですか?
- 損害保険料率算出機構が2026年4月30日に金融庁長官へ届け出た基準料率では、2026年11月1日以降に保険期間が始まる契約の場合、離島と沖縄県を除く地域で自家用乗用自動車は12か月12,250円、24か月18,560円、軽自動車(検査対象車)は12か月12,300円、24か月18,660円です。基準料率表には貸渡用の独立した区分がないため、わナンバーの車がどの欄で契約されるかは保険会社で確認してください。
- 自家用車の自動車保険のままで、わナンバー車を貸し出せますか?
- わにゃふるカービジネスの案内では、わナンバー(レンタカー登録車)は任意保険もレンタカー用(貸渡用)の契約が必要になるとしています。お客様が運転する前提の保険なので、今の代車に掛けている自家用の契約をそのまま使えるとは考えず、切り替え前に保険会社や本部に確認してください。
- 自社の車をわナンバーにする場合、保険はどう手配しますか?
- わにゃふるカービジネスでは、自社の車をわナンバーにする場合の準備料金はかかりませんが、別途わナンバー用の任意保険の加入費用が必要です。申込方法のページに自社車両保険登録依頼書が用意されています。配備車両プランを選ぶ場合は、任意保険と車両保険が月額に含まれます。
- わナンバーの車両や貸出の記録は、整備・販売の管理とまとめて扱えますか?
- 代車やわナンバー車の入庫・貸出の予定と、整備や販売の記録を別々に管理すると二重入力が増えます。自動車整備システム(自動車整備ソフト)や車両販売システム(車販ソフト)で顧客・車両・スケジュールを一元管理すると、貸出と入庫の段取りを1か所で確認できます。整備システム 比較や整備ソフト おすすめの情報を見るときは、整備ソフト 安いかどうかだけでなく、整備システム リースなしで始められるかも確かめてください。
参考にした一次情報
この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月5日確認)。
- 自動車損害賠償保障法 第3条、第5条、第9条(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/330AC0000000097
- 自動車損害賠償保障法施行令 第2条(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/330CO0000000286
- 損害保険料率算出機構 【自賠責保険】基準料率届出のご案内(2026年4月30日):https://www.giroj.or.jp/ratemaking/cali/pdf/202604_announcement.pdf
- 損害保険料率算出機構 自動車損害賠償責任保険基準料率(2026年4月30日届出):https://www.giroj.or.jp/ratemaking/cali/pdf/202604_table.pdf
- 富山運輸支局 公示「貸渡人を自動車の使用者として行う自家用自動車の貸渡し(レンタカー)の取扱いについて」(令和4年6月1日):https://wwwtb.mlit.go.jp/hokushin/toyama/pd/pdf/renta_kouji.pdf
- 国土交通省 自動車交通局長通達 自旅第138号「貸渡人を自動車の使用者として行う自家用自動車の貸渡し(レンタカー)の取扱いについて」:https://www.mlit.go.jp/common/000019768.pdf
- 道路運送法 第80条(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000183
- 道路運送車両法 第61条(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000185
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